書評

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」by 山口周

0823

書評記事は、山口周さん著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」』をご紹介します。

 

グローバル企業の幹部エリート達がアートを学びはじめているということに関して、

この本のテーマである「経営におけるアートとサイエンスのバランス」という視点に非常に刺激を受けました

また、ビジネスが機能の差別化から情緒の差別化へと競争の局面をシフトしているという極めて価値が逆転している視点で語り、

MBAで学ぶような分析的でアクチュアルなスキルよりも、美術系大学院で学ぶような統合的でコンセプチュアルなスキルの

重要性が高まっているという内容に関心を抱きました。

 

さっそく紹介しま~す♪

 

世界のエリートはなぜ

「美意識」を鍛えるのか?

経営における「アート」と「サイエンス」

by 山口周

 

 

本に書かれているとおり、

『これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、

今日のように複雑で不安定な世界において、ビジネスの舵取りをすることができない。』

 

WEBコンサルタントをしていると突き当たる壁が出てきます。IT業界歴20年、今までの疑問が空の雲が消えるような青空の晴天になったかのような

圧倒するような知的好奇心を擽る本でした。

 

その答えがこの本には書いてあるのです。そして、自分自身がどちら側に属しているのかも良く理解できる内容でした。

今までの人生のなかで、繰り広げられてきた衝突がなぜ起きたのか、またこういうことが言いたかったと・・・と、明確化されている良書でありました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「自分がいいと思うかどうか、ピンとくるかどうか」が最終的な意思決定の立脚点であって、データや説明などは参照しない、

むしろそんなものが必要になっている時点で、そのデザインはダメだというわけです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

また、「悪の陳腐さ」についてが興味深かったことです。

 

「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」と。

 

「悪」というものが、システムを受け入れ、それに実直に従おうとする「誠実さ」によって引き起こされるのだとすれば、

私たちは「悪」に手を染めないために、どうすればいいのか?

 

結論は明らかでです、「システムを相対化すること」しかありません。

自分なりの「美意識」を持ち、その美意識に照らしてシステムを批判的に見ることでしか、

私たちは「悪」から遠ざかるすべはないのです。

 

一方で、システムから排除されてしまえば、社会的な成功を収めることは難しい。

ここに私たちが向き合っている大変難しい問題がある」と

そして、「最適化していることで、様々な便益を与えてくれるシステムを、

その便益に拐かされずに、批判的に相対化する。

これが、まさに21世紀を生きるエリートに求められている知的態度なのだ、ということです。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

と記させています。

 

 

私自身、この本に共感と信頼を寄せた背景に私自身がMBAホルダーであり、

なぜMBAを取得したのかという素朴な結論が書かれています。

そして、感じていたMBAの限界について。MBAで学んだことで良かったことは事業経営における定型の「守破離」を学びました。

私のゼミの先生は日本における100年続く老舗企業の研究をされている先生でした。

そのこともあり、日本にはなぜ老舗企業がたくさんあるのかという理由を学びました。

MBAの限界については、行かなければよかったということではなく、行ったからといって、すべてを解決できるわけではないということです。

もちろん行って良かったという点のほうが私は大きいです。人との出会いや過ごした時間による経験はお金では買えないからです。

その時代、一心不乱に学んだ経験は後の人生において価値があると思っています。

 

著書にある経営の世界における共通言語やシステムとして機能している「サイエンス」と「クラフト」学ぶこと。

そして、「アート」型の天才肌の経営者と「サイエンス」と「クラフト」側の経営陣とを結ぶことをしてきました。

「熱いロマン」タイプの経営者側にいることが多く、「冷たいソロバン」タイプの経営チームを結ぶ役割。

アートを担う創業者が、会社を育てる過程でサイエンスを担うプロ経営者を雇い、しばらくの間は蜜月が続くものの、やがてサイエンス側に

会社を牛耳られてしまうという構図に今まで何度も出くわしてきました。

 

幸運なことはこの天才的な「熱いロマン」タイプの「アート」型の経営者からヘッドハンティングを受け今まで仕事をさせていただきました。

そこで学んだ経験が今の自分を形作っているということもあり心から感謝しています。

 

また、私自身も天才ではない「アート」型であるという点です。

WEB制作のプロデュースをしていると、なぜこのデザインやキャッチコピーの方が良いですか?という質問を受けます。

その時に「天から降ってきた・・・。直観で・・・。」など、サイエンスやクラフト側からすると意味不明な受け答えをして撃沈してきました。

 

しかしながら、今まで経営ITコンサルをしてきた企業はみなうなぎ登りに業績を上げられてきたり、企業再生をしてきた企業がたくさんあり、

なぜそのようなことが成し遂げられることができたかがこの本を読んでわかったのです。

 

いつの時代もここの衝突があったことがこの本で手に取るようにわかります。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「システムを修正できるのはシステムに適応している人だけだ」という点です。

「かつてシステムを全否定し、これをリプレースしようとした人たちは、

おしなべて「システムを否定された人」たちでした。

 

システムから否定された人たちが、自分たちを否定したシステムをリプレースしようとしたわけですから、

当然ながら「システムの修正」など、できるわけがありません。

 

哲学を学ぶことで、「無批判にシステムを受け入れる」という「悪」に、

人生を絡めとられることを防げるということだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

著書抜粋

 

この本で大切なことを学びました。

「物質主義・経済至上主義による疎外が続いた暗黒の19~20世紀が終わり、新たな人間性=ヒューマニズム回復の時代がきた」

「生産性」「効率性」といった外部のモノサシではなく、「真・善・美」を内在的に判断する美意識という内部のモノサシに照らして、自らの有り様を考える」

 

 

ITコンサルタントとして分析型で経済至上主義の仕事を行ってきた上で直面し、迷っていた自分の心に明るい光が差し込めたような感じを受けました。

 

常に問題解決をする上で、企業やリーダーの「美意識」の水準が、企業の競争力を大きく左右することになるということが書かれており、目から鱗でした。

 

また、10年前にアートフェスティバルを行ってきていた中で、アーティストやクリエイターに対して

昔から人並みならぬ想いがあったからです。

・・・・・・・・・・・・・・・

「アート」と「サイエンス」や「クラフト」が主張を戦わせると、必ず「サイエンス」と「クラフト」が勝つからです。

なぜなら、「サイエンス」と「クラフト」が非常にわかりやすいアカウンタビリティを持つ一方で、「アート」はアカウンタビリティを持たないからです。

言い方を変えれば、ある意思決定をしようというとき、アートとサイエンスのあいだで主張がぶつかると、サイエンス側がアート側を批判することは非常に容易であるのに対して、

アート側がサイエンス側を批判するのは非常に難しい、ということです。

「なんとなく、これが美しいから」という理由で主張を展開するアート側に対して、財務面で、その他の定量的分析の結果を盾にして、別の主張を展開するサイエンス側が対等な立場で

闘えば、勝負は目に見えています。答えはアート側の敗北でしかありません。

それではアート対クラフトという構図ではどうでしょうか?

こちらについても結果は同様でしょう。過去の実績に基づいて「それはうまくいかないんだよ」と反論する経験豊富なクラフト側と、「これは美しい」と主張するアート側が対等な立場で戦えば、

やはりアート側の敗北は目に見えている。

ちなみに「サイエンス」と「クラフト」が主張を戦わせるときはどうなるのかというと、多くの場合、これは大変建設的な議論になります。

過去の実績に基づいて主張を展開するクラフト側と、事実を論理を盾にして「それはおかしい」と経験則を攻撃するサイエンス側とでは、勝負はなかかか決まりません。

ちなみにこの構図は、長いこと現場でやってきた叩き上げの幹部と、外部から乗り込んできたコンサルタントのあいだでしばしば起こる争いと同じです。

つまり、アートとサイエンスとクラフトを並べてみた場合は、現在の企業組織においては三者が対等な立場で戦えば間違いなくアートが敗れるということです。

これが、三者のバランスが大事だと言われながら、結局のところサイエンスとクラフトに意志決定の重心が寄っていってしまう最大の要因です。

この問題は、最終的な資本主義のアカウンタビリティの問題に行き着くということになります。

現在の企業にはアカウンタビリティが求められますね。アカウンタビリティというのは、「なぜそのようにしたのか?」という理由を、後でちゃんと説明できるということです。

では「アート」「サイエンス」「クラフト」と並べてみた場合、後で説明できるのはどれかということになると、これはもう圧倒的に「サイエンス」と「クラフト」ということになるわけです。

 

 サイエンス:様々な情報を分析した結果、このような意思決定をしました。

 クラフト:過去の失敗経験をふまえた結果、このような意思決定をしました。

ところが、アートに基づく意思決定というのは、後から説明するのが大変難しいわけです。

 アート:なんとなく、フワっと、これがいいかなと思って意思決定しました。

 

過去の意思決定に関して、こんな説明をして「いいね、さすが」と言われるのはかつてのスティーブ・ジョブズぐらいのものでしょう。

実績もない経営者がこのようなコメントを株主総会で出したら、即座に解任動議が発動されることになりまねません。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

天才はアカウンタビリティを持てない。つまり、自分がヒットを打てた理由、打てなかった理由について、合理的な説明できないということです。

天才バッターと言われた長嶋茂雄氏は、その指導のわかりにくさでも有名でした。「ボールがスーッと来たら、腰をガっといく」といった、相手を煙に巻くような指導をして、

しばしば周囲を困惑させていた逸話が残っています。

これはつまり言語化できるかどうか、という問題であり、再現性があるかという問題でもあります。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コンサルティング業界は、機能面での競争から情緒面での競争のシフト、あるいは政治、外交などが複雑に絡まり合うVUCAの世界における、サイエンス重視型アプローチの限界という状況に直面し、

コンサルティングの世界に「アート」を盛り込もうとしているというのが、著書の整理ということになります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

と真摯な現実的な内容が記させています。

 

イノベーションの後に発生する「パクリ合戦」における、デザインとテクノロジーの陳腐化という問題を見落としていることが多い。

一方で、ストーリーや世界観はコピーできません。ストーリーや世界観というのは、その企業の美意識がもろに反映するわけですから、これはサイエンスではどうしようもない。

世界観とストーリーの形成には高い水準の美意識が求められることになります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

中国の元温家宝首相より「日本人女性で面白い人がいる」ということで幸運にもお声がかかり、

10年前からアートに関わるお仕事をさせていただいた時から

1億総クリエイター時代の到来を2007年から予感がしていました。

 

そして、今、まさに時代的な転換にあるという点です。

本に書かれているとおり、

『これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、

今日のように複雑で不安定な世界において、ビジネスの舵取りをすることができない。』

 

世界観とストーリーの形成には高い水準の美意識が求められることになるという本質的なことがわかり、

私が今までITコンサルタントとして伝えたかったこと、「世界観とストーリーの形成」を形作ってきたことに確信が持てました。

 

「論理」と「理性」では勝てない時代だからこそ、大切な「真・善・美」が必要なのだと大変感銘を受けた本でした。

 

ぜひ皆さんにもこの本を一度は手にとって読んでもらいたいです

そして、人生に対する自分なりに美意識について一度手に取って考えてもらえる時間をつくってもらえれば嬉しいです。

 

ではでは。

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